ご飯を炊く、いろいろな方法。
Back to top1) 精白米の重量/容量変換
日本では、米の計量単位に「合」が使用される。「合」は容量単位で、1合が180ccに相当する。これを重量単位に変換すると以下のようになる。
従来から米1合(180cc)=150gとされているが、所有している米の計量カップでは米1合(180cc)=165gとなるため、両方記載する。
| 合 | 容量[cc] | 1合=150gでの重量[g] | 1合=165gでの重量[g] |
|---|---|---|---|
| 0.5 | 90 | 75 | 82.5 |
| 1.0 | 180 | 150 | 165 |
| 1.5 | 270 | 225 | 247.5 |
| 2.0 | 360 | 300 | 330 |
| 2.5 | 450 | 375 | 412.5 |
| 3.0 | 540 | 450 | 495 |
| 3.5 | 630 | 525 | 577.5 |
| 4.0 | 720 | 600 | 660 |
| 5.0 | 900 | 750 | 825 |
| 6.0 | 1080 | 900 | 990 |
| 7.0 | 1260 | 1050 | 1155 |
| 8.0 | 1440 | 1200 | 1320 |
| 9.0 | 1620 | 1350 | 1485 |
| 10.0 | 1800 | 1500 | 1650 |
2) 炊飯における「水分」
鍋に米と水を直接入れる場合でも、内鍋と外鍋の構造をとる場合でも、米に対する水加減は同じである。
水が熱せられることによって湯気の形となり、失われる水分の量は考慮しないでよいようである。
違う表現としては、外的要因で水分が失われる状況になくとも、米を炊く行為を実施すると、米が同容量の水を吸水するといえる。
米を30分浸水させた後に水を切り、炊くための水を入れる場合は、米の乾燥重量の数字に合わせた量の水を入れる。
炊飯時の水分を計算する:https://www2.diosaldea.jp/rice_water.html
Back to top3) 白米(ジャポニカ米)を炊く
白米を通常の硬さで炊く場合、炊き始める直前に必要となる水分量は、白米の乾燥容量と同じである。合数などの数値単位で計量できない場合は、1つの計量容器を使用して容量を揃えることで、水加減を揃えることができる。
3.1) 鍋を使用する
通常の鍋でご飯を炊く場合は、ガラス蓋を使用すると中の様子が見えてよい。
また、鍋の大きさとしては、1合につき内容量が500ccのものを選択すると、無駄が生じにくい。
- 米が割れて花咲き米とならない程度に、手早く研ぐ
- 米と同容量の水(1合であれば、180cc)を入れる
- 強火で加熱する
- 沸騰して吹きこぼれる直前で弱火にする
- 鍋底で焦げる音、もしくは蒸気の上がり方が変わったら、5〜10秒くらい強火にする
- 火を止める
- 10分くらい蒸らす(放置する)
3.2) 土鍋を使用する
土鍋を使用してご飯を炊く方法は、通常の鍋を使用するのと変わらない。
ただし、土鍋は水分を吸収するため、ご飯を炊く前に吸水させる場合は、土鍋ではない容器で吸水させ、炊く直前に米を土鍋に移す。
3.3) フライパンを使用する
参考:
- https://www.lettuceclub.net/lettuce/special/20131010/01/
- https://oceans-nadia.com/user/21965/article/1279
3.4) 電子レンジを使用する
電子レンジの場合、庫内に入れた容器の様子が判別しにくいため、電子レンジ使用可能な耐熱ガラス容器を使用したほうが中の様子を確認しやすい。
- 炊き始めるまでは、鍋で炊くのと同様にする
- 容器のふたはラップや皿で、蒸気が少し逃げるようにする
- 電子レンジの最強運転で、水分が沸騰するまで待つ
- 水分が沸騰したら電子レンジの運転を中止して、最弱モード(200W)で運転を再開する
- 水分が干上がったら、運転を中止する
- 10分くらい蒸らす(放置する)
3.5) ポリ袋を使用する
ポリ袋には低密度ポリエチレン(一般に透明度が高く、少し丈夫なの)と高密度ポリエチレン(カサカサ音がして、すぐに穴が開くやつ)があり、加熱調理に使用できるのは高密度ポリエチレンに限られる。ポリ袋のパッケージに「加熱調理可能」と記載されているのであれば、それを使用するに越したことはない。
ポリ袋を使用する場合、ポリ袋1枚につき1合までとしたほうがよい。もっと多い量を炊く場合は、使用するポリ袋の枚数を増やすことで対応して、袋の総量に比例した大きさの外鍋を使用する。
- 耐熱温度が100℃より上の高密度ポリエチレン製の袋に、白米(無洗米が推奨)に加えて同容量の飲用可能な水を入れる
- 袋からなるべく空気を抜いて、袋の口を閉じる
- 外鍋として使用する鍋の底に皿やザルを入れて、袋が鍋底に直接触れないようにする
- 外鍋に袋を入れて、袋の内容物が浸る以上の水を入れる ※この水は、飲用不可の水でもよい。
- 外鍋を加熱して、外鍋の水を沸騰させる
- 外鍋の水が沸騰したら、30分沸騰状態を維持する ※火力調整をしなくてもよいが、その場合は外鍋の水位が袋の内容物水位よりも下にならないように気をつける。
- 30分経過後、外鍋を火からおろして、10分くらい蒸らす(放置する)
- 可能であれば、袋から内容物を取り出してほぐす
3.6) 圧力鍋を使用する
ご飯を圧力鍋で炊いた場合、圧力鍋のふたにご飯のデンプンがこびり付く。これを放置すると圧力鍋の動作に影響するので、洗って取り除く。
- 炊き始めるまでは、鍋で炊くのと同様にする
- 圧力鍋の圧力弁(レバーまたはおもり)は、通常圧力モードに設定する
- 圧力鍋に圧力がかかるまで、強火で加熱する
- 圧力弁から蒸気が吹き出してきたら、弱火にする
- 3分後、火を止める
- 10分くらい蒸らす(放置する) ※途中で圧力が抜けても。
3.7) 「峠の釜めし」の釜を使用する
「峠の釜めし」の釜は、1合のご飯が炊ける容量に設計されている。
素焼き陶器は水分を含んだ状態での加熱に弱いため、釜の素焼き部分に水分が付かないよう、取扱に注意する。
3.7.1) 熱源にガスコンロを使用する場合
- 釜ではない別の容器で米を研ぐ
- 研いだ米を「峠の釜めし」の釜に入れ、同容量の水を入れる
- 釜にフタをして、加熱する
- 水分が沸騰してきたら弱火にする
- 焦げる音やにおい、もしくは蒸気の上がり方が変わったら、5〜10秒くらい強火にする
- 火を止める
- 10分くらい蒸らす(放置する)
3.7.2) 熱源に固形燃料を使用する場合
固形燃料を使用する場合は火加減ができないので、点火後は放置ということになる。
使用する固形燃料は、燃焼時間が20分のものを選択すると、燃焼が終了したらそのまま蒸らし時間とすることができる。燃焼時間が20分より長いものを使用する場合は、炊いている米の状況を見計らって消火する必要がある。
3.8) 蒸し器を使用する
蒸し器を使用してご飯を炊く場合は、外鍋と内容器の構造となり、「蒸し炊き」となる。蒸し器自体がない場合は、簡易蒸し器を使用するか、外鍋に直接座りの良い容器を置けば問題はない。
- 炊き始めるまでは、鍋で炊くのと同様にする
- 容器のふたはラップやアルミホイルなどで、蒸気が少し逃げるようにする
- 外鍋に水を入れて加熱する
- 水分が沸騰したら、蒸し器に容器を入れてフタをして、25〜30分蒸す
- 時間経過後、火を止めて10分くらい蒸らす(放置する)
3.9) 大同電気釜を使用する
大同電気釜には内鍋が付属しているが、それを使用しなければならない決まりはなく、外釜に収まる大きさの加熱可能な容器であれば、何を使用しても問題はない。
外釜の内側底面に蒸し皿を置き、その上に容器を置いた場合は「蒸し炊き」となる。対して、蒸し皿を使用せずに容器を直接外釜の底面に置いた場合は、通常の炊き方と変わらなくなる。容器を直接外釜の底面に置いた場合、水が沸騰することによって発生する振動で容器の底面が傷つくので、蒸し皿を使用するかどうかは、どの炊き方で炊きたいかで考える。
なお、蒸し皿を使用する/しないのどちらでも、調理手順は変わらない。
- 炊き始めるまでは、鍋で炊くのと同様にする
- 外釜に水を500ccくらい入れる
- 容器を外釜に入れ、容器にはフタをしない
- 外釜にフタをして、加熱レバーを下げて加熱を開始する
- 外釜の加熱レバーが上がって加熱が終了したら、10分くらい蒸らす(放置する)
3.10) オーブンを使用する
- 炊き始めるまでは、鍋で炊くのと同様にする
- オーブンを270〜280℃で予熱する
- 予熱が完了したら、オーブン調理可能な鍋にフタをして、オーブン庫内に入れる
- 金属製の鍋の場合は15〜17分、ガラス製の鍋の場合は20〜22分加熱する
- 時間経過後、そのままオーブン庫内で10分くらい蒸らす
3.11) せいろを使用する
せいろを使用した場合、おのずと蒸して調理することになる。このため、厳密には「炊く」にならない。
米を蒸した場合、米の外側が固く、内側が柔らかい状態となる。米を蒸す場合は、白米でなくもち米を使用するのが推奨される。もち米を使用した場合は「おこわ」と称され、一般には混ぜご飯とする。
- 米を研いで、30分浸水する
- 水を切り、蒸し布を敷いたせいろに米を広げる
- 浸水している間に、鍋の水を沸騰させる
- せいろを鍋に乗せ、30分蒸す
- 鍋の火を止めて、20分蒸らす(放置する)
4) 無洗米を炊く
無洗米は、精白米の表面を覆っている「肌糠」が除去されているものである。
精白米は研ぐことで肌糠を除去するが、無洗米ではすでに除去されているため、研ぐ行為を必要としない。
ただし、ホコリを落とすなどの目的で、1回は水で洗う行為をしたほうがよい。
精白米と無洗米は重量単位で購入することになるが、精白米の重量には肌糠が含まれるため、米の量(粒の数)は無洗米のほうが多くなる。
※精白米5kgから肌糠を除去すると4.85kgくらいとなり、概算として、精白米が精米歩合91%とした場合、無洗米は精米歩合88%となる。
このため、炊く際の水加減は、無洗米の場合には精白米より多くしなければならない。
裏を返すと、1合の水量に合わせる米の重量が、精白米と比較して無洗米は少なくなる。
| 合 | 水量[cc] | 精白米での重量[g] | 無洗米で同等の重量[g] |
|---|---|---|---|
| 0.5 | 90 | 75 | 72.5 |
| 1.0 | 180 | 150 | 145 |
| 1.5 | 270 | 225 | 217.5 |
| 2.0 | 360 | 300 | 290 |
| 2.5 | 450 | 375 | 362.5 |
| 3.0 | 540 | 450 | 435 |
また、精白米と無洗米の密度比は0.97:1といわれており、無洗米の180ccは154gとなる。
※無洗米の170ccが、精白米の180ccに相当する。
上記から、精白米の1合に相当する無洗米の1合は145gであるため、精白米に換算すると1.06合となる。
このため、無洗米の計量を容量で実施して、精白米と同様の水加減で無洗米を炊くと、炊き上がりが硬くなる。
無洗米を計量を容量(180cc=1合)で実施した際は、精白米の水加減に対して、1合につき10cc多くする。
| 合 | 無洗米の重量[g] | 精白米で相当する重量[g] | 水量[cc] |
|---|---|---|---|
| 0.5 | 77 | 79.31 | 95 |
| 1.0 | 154 | 158.62 | 190 |
| 1.5 | 231 | 237.93 | 285 |
| 2.0 | 308 | 317.24 | 380 |
| 2.5 | 385 | 396.55 | 475 |
| 3.0 | 462 | 475.86 | 570 |
参考:
- http://www.mmrice.jp/info/musen.html
- https://tg-uchi.jp/topics/4474
- https://musenmai.info/musenmai-ryou.html
5) インディカ米を炊く
インディカ米の炊き方は、白米(ジャポニカ米)と同様でよい。
ただし、研ぐことでインディカ米特有の香りを落としてしまうため、研ぎ方としては、ホコリを落とすくらいの感覚でよい。
Back to top6) 玄米を炊く
玄米は白米と異なり、表面が糠に覆われており、これが油膜となっているため、吸水が悪い。このため、通常の方法で炊こうとする場合は長い吸水時間を用意する必要がある。
6.1) ふつうの炊き方
- 白米と同様に研ぐ
- 3時間以上吸水させる
- 吸水後、白米より多めの水加減で炊く
- 蒸らし時間は長めに(30分くらい)とる
6.2) びっくり炊き
「びっくり炊き」とは、秋田地方発祥の炊き方で、名称は麺を茹でるときの「びっくり水」と同様の発想と思われる。びっくり炊きは通常の鍋でしか実現できない。
- 白米と同様に研ぐ
- 白米と同じ水加減にして、蓋をせずに、鍋を強火にかける
- 鍋の水分が飛んだと思われるタイミングで、白米の水加減に対して1.2〜1.5倍の水を鍋に投入して、鍋に蓋をする
- 鍋の水が沸騰したら、弱火にする
- 鍋の水が干上がり、焦げ始めのパチパチ音がしてきたら火を止める
- 蒸らし時間は長めに(30分くらい)とる
6.3) 圧力鍋を使用する
- 白米と同様に研ぐ
- 水加減は、玄米の容量に対して1.5倍(玄米が1合ならば270cc、2合ならば540cc、3合ならば810cc)にする
- 圧力鍋の圧力弁(レバーまたはおもり)は、通常圧力モードに設定する
- 圧力鍋に圧力がかかるまで、強火で加熱する
- 圧力弁から蒸気が吹き出してきたら、弱火にする
- 15分後、火を止める
- 30分くらい蒸らす(放置する) ※途中で圧力が抜けても。
- 食感を揃えたい場合は、天地返しした後にしばらく放置する
7) 付録1:おかゆを炊く
白米と水の比率が1:6〜10となる。まとめると以下のようになる。
| 白米 | 1:6での水 | 1:7での水 | 1:8での水 | 1:9での水 | 1:10での水 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.5合 | 540cc | 630cc | 720cc | 810cc | 900cc |
| 1.0合 | 1080cc | 1260cc | 1440cc | 1620cc | 1800cc |
| 1.5合 | 1620cc | 1890cc | 2160cc | 2430cc | 2700cc |
| 2.0合 | 2160cc | 2520cc | 2880cc | 3240cc | 3600cc |
- 通常の炊飯と同様に米を研ぐ
- 上記の比率に合わせた水加減にする
- 鍋を強火で加熱する
- 鍋の水が沸騰したら、弱火にする
- ときどきかき混ぜながら、30分を目安として経過させる
- 卵がゆにする場合は、火を止めてからとき卵を入れてかき混ぜ、蓋をして1分経過させる
食べる際、塩などで味を調整する。
Back to top8) 付録2:リゾット
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 米 | 1合(180cc) |
| オリーブオイル | 大さじ2 |
| ブイヨン | 600cc |
| 白ワイン | 大さじ1 |
| ローリエ | 2枚(あれば) |
| バター | 20g |
| パルミジャーノ・レッジャーノチーズ | 大さじ2 |
| 塩 | 少々 |
| 黒コショウ | 少々 |
- ブイヨンに白ワインとローリエを入れ、中火で熱して、沸騰するくらいにする
- 米を研がずに、オリーブオイルで米を中火で炒める
- 米の表面が全体的に白っぽくなったら、お玉2杯分のブイヨンを米の鍋に注いで炊き始める
- 火加減を弱火にして、炊き上がりまで以下を繰り返す
- 米の表面にカニ穴のような穴ができたら、都度お玉0.5杯分のブイヨンを補給する
- 鍋をかき混ぜる際は、鍋底が焦げない程度にする
- 米の炊き加減が「アルデンテ」になった時点(目安は20分)で火を止める
- 鍋にバターとパルミジャーノ・レッジャーノチーズを加えて、余熱で溶かす
- 塩で味を整える
- 器に盛った後、黒コショウをかける