1) 製品表記としての、清酒と日本酒の違い
日本酒は、「原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒のみが、「日本酒」を独占的に名乗ることができる」といった定義が国税庁によってされている。
海外で製造された日本酒と同等のものや、麹としてタイ米を使用しているものなどは日本酒とはならず、清酒となる。
要するに、清酒という全体集合の中に日本酒が含まれるということになる。
このため、「日本酒」と明記してよい製品に「清酒」と記載されているのは間違いではない。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/minaoshi/pdf/chiritekihyoji.pdf
Back to top2) 清酒の温度表現
| 温度表現 | 摂氏 |
|---|---|
| 飛び切り燗 | 55℃ |
| 熱燗 | 50℃ |
| 上燗 | 45℃ |
| ぬる燗 | 40℃ |
| 人肌燗 | 35℃ |
| 日向燗 | 30℃ |
| 冷や(常温) | 20〜25℃ |
| 涼冷え | 15℃ |
| 花冷え | 10℃ |
| 雪冷え | 5℃ |
| ロック | -- |
3) 清酒の香りや味の表現
清酒のために用意されたフレーバーホイールに記載された表現を使用すべきらしい。
参照元:https://www.nrib.go.jp/data/pdf/seiyoutai01.pdf
フレーバーホイールを見ても分かりにくいが、ものによっては、海産物系の味を感じることがある。こちらは、コハク酸やアミノ酸由来のうま味を感じていることになるので、感じたままの表現を使用しても良いらしい。 ただし、欧米諸国の人間にはダシの文化がないため、うま味に分類されるものを的確に表現できないようである。
Back to top4) 清酒の分類
清酒には、「普通酒」や「本醸造」、「純米酒」などの分類が存在する。詳しくはウィキペディアの「日本酒」を参照。
Back to top5) 清酒の保存方法
清酒は紫外線によって短時間で劣化するので、光の当たらない場所というのが必須条件となる。ここでの「光」は、日光だけでなく、照明も含まれる。
スーパーなどで販売されている清酒は、特に表記がされていない場合は二度火入れされており、温度による劣化は思うほど進行しない。
生酒の場合は、温度によっても熟成が進行するので、冷蔵保存をする。
瓶を保存する場合、立てて保存することが望ましい。横にして保存すると、フタに内容物が触れることによって酸化したり、金属のイオンが混入する可能性がある。
Back to top6) 清酒における、原材料の表記
清酒において、原材料として「米」としか記載されていない場合は、ロット(タンク)ごとで使用している米が異なる可能性を示唆している。
対して、原材料の米として、銘柄(山田錦とか)が記載されている場合は、その銘柄の米がかならず使用されていることを表現している。
米は農作物であり、その時で作上がりが異なるので、同一銘柄の米を使用していても、同じ味わいになっているかどうかは別の話である。
Back to top7) 醸造アルコールとは
醸造アルコールは、実際には焼酎甲類みたいなもので、酒造メーカーとしては「その酒を性格付ける要素のひとつ」となる。
※「原酒」と記載されていなければ、アルコール度数調整のために加水されている。
醸造アルコールは「純米」と銘打たれていない清酒の原材料に含まれるが、現在はこれによって酒の優劣が決定するものではない。
醸造アルコールが添加(アル添)されることによって、全体の味としてはアルコール自体の刺激が感じられるようになり、これを性格付けの要素としているらしいが、アルコール度数の耐性が高いとその刺激が感じられず、部分的にすっぽ抜けたような味に感じられる。
そもそも味覚というものは主観評価であって、外部からの情報で左右されるようなものではない。このため、ひとつの酒造メーカーが販売している純米酒と本醸造酒を両方飲んでみて、自分の好みに合うものを選択すればよい。
Back to top8) 酒造好適米はどのような特性の米か
酒造好適米(酒米)は、食用米(飯米)と比較すると、以下のような特徴を持つ。
- 米の粒が大きい
- 心白の含有量が多い
- たんぱく質・脂質の量が少ない
- 吸水率が良い
- お米の表面が硬く、中身が柔らかい(外硬内軟性が良い)
酒米を食べようとした場合、粘り気がなくパサパサしているにも関わらず、弾力があるため、食用に向かない。
逆に、飯米で清酒を作ることはでき、実際にササニシキなどで製造されている。
参考:
- https://www.sake-make.jp/contents/sakamai/
- http://sake-hiroshima.com/jp/about/okome.php
- https://ameblo.jp/smilyclover/entry-12224200107.html
- https://withnews.jp/article/f0171013003qq000000000000000W00o10101qq000016020A
9) 日本酒に使用される酒造好適米(酒米)の収穫時期
以下に、代表的な酒造好適米の収穫時期を記載する。
稲の収穫時期は、出穂後の積算温度(950〜1150℃)で決定されるので、あくまで目安となる。
| 銘柄 | 収穫時期 |
|---|---|
| 五百万石 | 9月上旬 |
| 美山錦 | 9月中旬 |
| 出羽燦々 | 9月中旬 |
| 八反錦 | 9月中旬 |
| 山田錦 | 10月上旬 |
| 雄町 | 10月下旬 |
上記より、五百万石の新酒が出回るのがいちばん早いことがわかる。
Back to top10) 清酒の「精米歩合」について
精米歩合は、玄米の状態を100%として、どれだけ米が残存しているかを示す割合のことである。
対照的な表現で「精白率」があり、精米歩合100%は精白率0%である。
米の構成として表層に脂質が含まれるため、清酒の製造においては、雑味を消す目的で精米歩合を小さくする。
| 精米歩合 | 飯米での表現 | 説明 |
|---|---|---|
| 100% | 玄米 | 籾殻(もみがら)のみを取り除いた状態で、表面が糠層(ぬかそう)で覆われている |
| 99% | 一分搗き(いちぶづき) | 玄米の表面のごく薄い表皮(パラフィン層)を取り除いた状態 |
| 97% | 三分搗き(さんぶづき) | 玄米と胚芽米の中間 |
| 95% | 五分搗き(ごぶづき) | 一般的に販売されている胚芽米 |
| 93% | 七分搗き(しちぶづき) | 胚芽が少し残っている |
| 90〜92% | 白米 | 一般的に販売されている白米 |
| 70% | − | 本醸造酒の上限 |
| 60% | − | 吟醸酒, 特別本醸造酒, 特別純米酒の上限 |
| 50% | − | 大吟醸酒の上限 |
純米酒には、精米歩合の制限が存在しない。
参考:
- http://kome.st/seimai.html
- http://www.sawanotsuru.co.jp/site/nihonshu-columm/knowledge/seimai-buai/
- http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/sake/type/type01.html
11) 清酒における、仕込みの「段数」
清酒の原料である水と米を、タンク等の容器に加え混合することを「仕込」といい、その回数が段数となる。
日本酒の製造においては、一般的に三段仕込が行われている。
一段仕込のものも存在するが、甘味と酸味が強調されており、白ワインのような味わいになっている。
参考:
Back to top12) 日本酒の発売される時期
おおよそ以下のようになっている。
| 表現 | 時期 |
|---|---|
| しぼりたて | 冬〜春 |
| あらばしり | 冬〜春 |
| 中汲み(中取り) | あらばしりの後 |
| 責め(後取り) | 中汲み(中取り)の後 |
| 生酒 | 夏 |
| ひやおろし | 秋 |
参考:
- https://www.sakesake.com/comu/word/N_topic2.html
- https://www.olive-hitomawashi.com/column/2018/03/post-1658.html
13) 日本酒における協会系酵母とその分離元、それが使用されている製品
歴史的なマイルストーンになっている協会系酵母について、分離元と現在それが使用されている製品を列挙していく。
| 名称 | 分離元 | 使用している製品 |
|---|---|---|
| 協会1号 | 櫻正宗 | 櫻正宗 焼稀 協会一号酵母 |
| 協会2号 | 月桂冠 | 伝匠月桂冠 百年酵母仕込み 純米吟醸(限定販売) |
| 協会3号 | 醉心 | 酔心 きょうかい三号酵母 純米酒 NO.3(限定販売) |
| 協会4号 | (詳細不明) | |
| 協会5号 | 賀茂鶴 | 賀茂鶴 純米吟醸「五」 |
| 協会6号 | 新政 | 新政 No.6 |
| 協会7号 | 真澄 | 真澄 純米大吟醸 七號 |
| 協会8号 | (協会6号の変異株) | 日下無双 純米80協会八號酵母 |
| 協会9号 | 香露 | ひこ孫 純米吟醸 協会9号酵母(黄ラベル) |
| 協会10号 | (明確でない) | 天の戸 精選 純米酒 生酒 |
| 協会11号 | (協会7号の変異株) | 豊潤 特別純米 吟のさと おりがらみ |
| 協会12号 | 浦霞 | 浦霞(全般) |
| 協会13号 | (協会9号と10号の変異株) | |
| 協会14号 | 金沢国税局鑑定官室 | ゆきの美人(どれか) |
| 協会15号 | (協会7号の変異株) | まんさくの花 巡米吟醸 |
参考:
- https://ja.wikipedia.org/wiki/協会系酵母
- https://ja.wikipedia.org/wiki/清酒酵母
- https://www.masumi.co.jp/spirit/process5